シン

e-Shikumi-Labo 所長

50代|関東在住|現場サポート(業務改善・VBA/RPA担当)

現場でのもどかしさと、「稼ぐ」を脇に置いた選択

現在、外部の現場スタッフとして、現場の業務改善(Excel VBAやRPA)を担当しています。

ただ、外部の現場スタッフという立場上、手を出せる範囲や責任にはどうしても制限があります。30年近く組織で働いていると、「ここをこう変えればもっと楽になるのに」という最適解や全体像が自然と見えてきます。ですが、人手不足の現場で日々の業務に追われている社員さんたちを見ていると、余計な領域にまで踏み込むわけにもいきません。

30年の知見や経験があるのに立場上力を出し切れないもどかしさと、50代ならではの不完全燃焼感。「自分の知識や情熱を、もっと自由に100%活かせる場所があるんじゃないか」というモヤモヤをずっと抱えていました。

そんな中で出てきたのが、AIという存在です。せっかくこんなすごい技術が登場したのだから、受け身でいるのではなく自分から使って何か作れないか。自分の知識や知的好奇心を思い切りぶつけられる場所を、自分の手で作ってみたいと思ったのがきっかけでした。

……なんて格好いい理由を並べましたが、本音を言えば「AIを使って副業で一儲けできないか」という下心もありました。ごく自然な欲です。ですがNoteなどを覗いて現実を知りました。AIが書いた記事があふれ、「非エンジニアがAIでアプリを作りました!」という記事が無数に流れてくる。「作る」ことは簡単になっても、それを個人が「広めて売る」のは完全にムリゲーな世界でした。

でも、一度その「短絡的に稼ぐ」というプレッシャーを脇に置いてみたとき、ふと気づきました。

子供の頃、アニメやSF映画で見てワクワクしていた「AIと一緒に何かを作る世界」が、今気に目の前にある。稼ぐためのツールではなく、自分のデスク周りを面白くする相棒としてAIを触り始めた瞬間、これはこれで純粋にめちゃくちゃ楽しい趣味になると思ったのです。

越境ECと、データ取得で揉まれた挫折

以前、副業で「越境EC(海外向け中古品販売)」をやっていた時期があります。仕入れの精度を上げるために重要だったのが、「いかに効率よくフリマサイトから商品を探して仕入れるか」でした。

最初はExcel VBAから始まり、GAS、最終的にはPythonまで使ってリサーチツールを作りました。すっかりツール作りの面白さにハマり、同業者向けにツールの提供まで始めたほどです。

ですが、苦労してプログラムを組んでも、相手サイトのレイアウト変更や、年々厳しくなるボット対策に毎回振り回されっぱなしでした。最終的にはボット対策がどんどん厳しくなり、ツールが動かなくなってサービス終了に追い込まれました。この経験から、「ブラックボックス化された完成品を渡して終わり」にするビジネスモデルの限界を痛感したのです。

AI時代に「価値があるもの」は何だろう?

文章作成からツール・アプリ作成まで何でもAIでできるようになる中で、「一体何に価値が残るんだろう?」と試行錯誤して気づいたことがありました。

  • 1 自分自身が直接経験した「一次情報」
  • 2 フリマサイトなどの「リアルタイムの情報(生のデータ)」

たとえば、AIに「今メルカリでNintendo Switchがいくらで出品されているか調べて」と頼んでも、正確な情報は取ってこれません。AIが得意なのは知識や集約されたデータであって、「今この瞬間のWeb上の生データ」を取得することではないからです。

だからこそ、リアルタイムのWebデータを取ってくる技術には、今でも明確な価値があるのだと確信しました。

行き着いたのが「Chrome拡張機能 × AI」

そこで「リアルタイムな生データを確実に取る方法」として行き着いたのが、Chrome拡張機能を使ってデータを取得し、スプレッドシートに連携させる方法でした。

外部からプログラムで無理やりデータを叩きにいくPython等と違って、Chrome拡張機能は「自分が開いているブラウザの画面」上で動きます。だからボット対策に引っかかりにくく、データの取得が圧倒的に安定します。

おまけに、お金も環境のハードルもすごく低いです。

  • 土台になるGoogleスプレッドシートは無料。
  • Chrome拡張機能を作るのも使うのも基本無料(ストア公開時のみ初回約800円)。
  • 面倒なコード書きはAI(ChatGPTやGemini等)に任せて、自分は得意な「課題整理」と日本語での指示(プロンプト)に集中できる。
  • Windowsだけでなく、Linuxやラズパイ(Raspberry Pi)なんかでも動く柔軟さがある。

私自身、SE(システムエンジニア)でもないので、Chrome拡張機能が自分で作れるとは正直思っていませんでした。ですが、Excel VBAをはじめとする基礎的なプログラミングの考え方を知っていること、そしてAIがあれば、思っていた以上にスムーズに形にすることができました。

世間でよく聞く「誰でも簡単に作れる!」なんて安直な言い方は口が裂けても言えません。けれど、プログラムの基礎的な考え方を理解している人がAIという相棒を得れば、諦めていた便利ツールを自分の手で形にすることは十分に可能です。

完成品ではなく「自分で直せる力(自走力)」を

過去にブラックボックスのツールを提供して失敗した苦い経験があるので、私は「自分が作ったツールを渡して終わり」という形にするつもりはありません。サイトの仕様が変わったら使えなくなるからです。

一番大事なのは、トラブルが起きてもAIと一緒に自分で直せる「自分で直せる力(自走力)」です。

当ラボ(e-Shikumi-Labo)では、お金も場所もかけずに楽しめる「大人のデジタルDIY」の作例を公開しています。