eBayの売上が落ちてきた(原因分析編2):ライバルが増えた?

2017-01-17

eBayで中古カメラが売れなくなってきたといことで原因を検討中。前回は、カメラが売れなくなってきている訳ではなく、日本人セラーの売上が落ちているということを紹介しました。

eBay輸出のカメラの売上が落ちてきた(原因分析編1):独自データで検証

今回は、eBayでの中古カメラ関連のライバル数の動向を調べてみました。
カメラを取り扱っていない方でも、自分のカテゴリに当てはめて考えてみて頂ければ参考になるかもしれません。

ポイント現状分析

eBayの売上が落ちてきた(原因分析編2)ライバルが増えた?
(1)日本人セラー出品数の推移

こちらは、当ラボで独自に集計したカメラカテゴリの商品単価1万円以上の日本人セラーの出品数の推移です。

fig1

カテゴリ全体で見ると、データ収集開始時(2016年2月)に10200品だった出品数が、2016年末で11500品と1300品程度(約13%)増加しています。
同じようにデータ収集開始時と2016年末の差をレンズ、フィルムカメラ、デジタルカメラカテゴリそれぞれを見ると

レンズ:4%増加
フィルムカメラ:32%増加
デジタルカメラ:5%減少

もともと出品数が多いレンズカテゴリはほぼ横ばい(~微増)ですが、フィルムカメラ本体の出品数が大きく伸びています。

(2)日本人セラーのSold Listingの推移

カメラカテゴリ全体の販売個数推移は、前回紹介しましたがカテゴリ別の推移は収集していませんでした。代わりに収集データの中からSoldListing(過去90日程度)の個数推移をグラフ化しました。

fig2

こちらの増減は、

 指定日当日の販売個数ー90日以上前の販売個数

になるため、分かりにくいデータですが、およその売上増減を比較することは可能かと思います。

販売個数の推移(2016年2月と2016年末の比較)
カテゴリ全体:16%減少
レンズ:19%減少
フィルムカメラ:7%減少
デジタルカメラ:15%減少

カメラカテゴリ全体の売上は、16%の減少になっていますが、フィルムカメラについては、減少幅が小さくなっています。

(3)カメラ転売スクールの状況

 転売の業界では、流行になると高額なスクールが乱立します。乱立する頃には売れなくなっています。
カメラ国内転売→カメラ輸出→Amazon輸出・輸入→中国輸入などなど
 2017年1月の現状を見る限り、カメラスクールの募集は少なくなっているように思えます。

(4)eBayジャパンの声

eBayジャパンのセミナーに参加した際、スタッフの方と雑談することがありますが、カメラのセラーの数は増加している一方で、一人あたりの売上は落ちてきているとのこと。

ポイント考えられること

eBayの売上が落ちてきた(原因分析編2)ライバルが増えた?

出品数とSoldListing推移の比較から、いくつか考えられることがあります。

(1)レンズが売れない=高額で利益率が低い商品が売れない

 前回、日本人セラーの販売個数が落ちた原因は、円高が進んで利幅が少なくなったために売れなくても値下げできなかったのではないかと紹介しました。
 カメラカテゴリでよく売れているレンズカテゴリ。カメラレンズは、カメラ本体より高額な商品が多く存在します。高額な商品であるため、カメラ本体に比べて利益「額」が大きくても、利益「率」が低くなりがちです。
 利益率が低く円高に対する耐性が低いレンズカテゴリが売りにくくなったため、カメラカテゴリの販売個数が下がっていると考えられます。

(2)扱いやすい商品ほど競争が激化

 2015年末にかけて円高が進み、eBay輸出転売への参入者が増え、それに合わせてカメラカテゴリへの参入者が増えてきました。
 カメラレンズは、フィルムカメラに比べて次のような特徴があります。
 ・「販売個数が多い=入手しやすい」ものが多い
  一眼レフカメラ等のレンズ交換式カメラを考えればわかりますが、レンズの製造個数は、一般にフィルムカメラ本体よりも多いはずです。そのため、中古品の販売数も多く入手しやすいことが多いです。(プロや特殊な専門家が使うようなレンズは別)
 ・検品がラク
  カメラ本体に比べてチェック項目が少ないため、検品作業はラクです。(カビ・クモリ等、判断が難しい面もありますが・・・)

 カメラレンズは、
 ・入手しやすい
 ・検品しやすい
 という、扱いやすい商品の条件が揃っていることから、出品者が増え、競争が激化したと考えられます。さらに、その後円高が進み、撤退する人が出てきたため、出品数が下がったものと思われます。

 (3)類似カテゴリへの移動

 一方で、フィルムカメラの出品数は増加しています。フィルムカメラは、レンズに比べて検品の手間はかかりますが、全体的に利益率は高い印象です。このため、レンズが売れなくなってきたセラーが、フィルムカメラの出品にシフトしているものと考えられます。

ポイントどうする

eBayの売上が落ちてきた(原因分析編2)ライバルが増えた?

 入手しやすい・検品しやすい商品は、競争が激化しています。カテゴリ全体の売上が大きく下がっているわけではないことから次のような対策があると思います。

(1)最新の相場を把握した仕入れ

 参入者の増加と為替の影響で、商品の販売価格は変動しています。常に最新の相場を把握して商品を仕入れる必要があります。

(2)商品の幅を広げる

 注意したいのは、商品の幅を広げるということは、より売れにくいものに手をだすということにもつながるということです。回転が早いが利幅が小さい商品、回転が遅いが利幅が大きい商品を組み合わせを意識しながら商品の幅を広げて行く必要があります。
 ・回転が早いが利幅が小さい商品
 従来から取り扱っている商品の多くがコチラに入ると思います。良い商品をいかに安く仕入れるかを追求していきましょう。
 ・回転が遅いが利幅が大きい商品
 在庫全体のバランスを考えて仕入れましょう。いくら利益額が高い商品だからといって、高額商品(高額の定義は資金量によりますが・・・)を1年も在庫として持っているのは効率が悪いです。

 自分が取り扱っている商品の回転数・想定利益額・利益率を調べることから始めては如何でしょうか?

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